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事例

学問の神様

学問の神様

 イフサチ(※1)というところに祀られている神様は、大島から渡ってこられた坊さんだったという話を聞いたことがある。つまり鹿児島から派遣されてきた方で、その人が来られるまで、琉球は全部漢文を使っていたが、この人が来てから国文学を教えてもらったということです。この人は渡嘉敷では、「学問世の先生(がくむんゆーぬしんしー)」と呼ばれていて、この人は米祝女殿内(※2)(めーぬんどぅんち)に宿をとっていたようです。

 そのころ、根神殿内(※3)(にーがんどぅんち)には根神小(にーがんぐゎー)という非常にきれいな人がいらしゃったそうですが、米祝女殿内でいろんな学問を教えながら根神小と恋仲になり、夜、根神殿内までこっそり通ったりしたもんですから、村の若い衆がそれをねたんでこの人を殺そうと考えたらしいですよ。それから、中丹(※4)(ちゅーたん)というところには犬がいて、その犬は先生が通るたびに吠えたらしいですよ。ある雨降りの晩、村の若い衆が、「中丹の家の前を通ったら犬が吠えるから、そのときにやっつけよう。」ということで中丹の家の近くに隠れて、その犬が吠えたもんですから、みんな出てきて先生を殺したらしいですね。そこはすぐ下が川だったので、先生の死体をその川に流したら、大雨で死体はずっと川下に流れていき、川口のガマと華のはえたぬまのあたりに引っ掛かっていたらしんです。「村の人がその死体を見て、このままにしておくのは大変だ。」ということで、その沼の裏側の山手から流れている川の側に埋めたらしいんです。そしたら、この人を埋めてから、コレラが流行して村の若者が殆ど死んでしまったので、村の人は大変だと大騒ぎして、ユタを雇って聞いてみると、「殺された先生の祟りが村の若者たちをコレラにしているんだ。この先生をなんとか祀らないとあんたがたは大変なことになるよ。」と言われて、この先生を祀ることになったそうです。するとこの先生がユタの口を通
して、「私を埋めるときには南京豆をきれいに焼き、それを一緒に入れてちゃんと埋めなさい。埋めた後、もしこの南京豆が生えて来たら、私はもう一回村に出てきて、村を同じような目にあわせるよ。」と言ったという。それで、また村は大騒ぎになったが、南京豆を焼いて墓に入れて埋めると、焼いて埋めたはずの豆が生えてきたらしんですよ。
それで、村は、「もう大変だ。これはまた祟りが起きるぞ。」と大騒ぎしていたら、何年か後に若者たちがまた死んでしまったと。そして死体を捨てに行く人もいなくなったので、しまいには家族だけで処置したということだったらしいんですよ。
そこで、また占いをさせたら、やっぱり先生の祟りだったと。それでよく聞いてみると、「私は何も悪いことをしたのではなく、村人に学問を教えにきたのだが、殺されてこんなところに葬られている。そこは雨が降るたびに水につかってしまうし、また鹿児島に向かうヒーグルマー(※5)が通
る度に、それを見ていると私はたまらなくなる。なんとかその船のみえないところに葬ってくれ。」と言うことだったと。
それから、「これは大変だ。この先生は神としてあがめなければならない。」と言って、今のイフサチというところにきれいな森を作り、そこに骨を埋めてお宮を建て、そのお宮を「学問の神」として祀ることにしたので、今では正月の7日になると、村中の人がそこを、「学問の神様」としてあがめているわけですよ。

渡嘉敷・故.小嶺盛仁(大正12年2月18日生)昭和54年8月26日聴取
※1.イフサチ
地名。字渡嘉敷の南側の川尻にある森の中にイフサチがある。
※2. 米祝女殿内
屋号。字渡嘉敷の祝女が出た家。
※3. 根神殿内
屋号。
※4. 中丹
屋号。
※5. ヒーグルマー
蒸気船のこと。

解説

 離島は流刑の島であった。沖縄本島で罪をおかした人物は、「海賊になった船頭」にも伝えられているように、各地の島々に島流しになった。重罪の者ほどとおくの宮古諸島や八重山諸島に流され、罪の軽いものは慶良間諸島や久米島などに流された。
この話はも、そうした流刑人の話だと思われる。僧侶が流刑になった例としては、「粟国の洞寺」の話がある。この話は、海の上を歩いて渡れるか那覇垣花の僧侶と奥武山の僧侶が賭けをし、垣花の僧侶は、下駄を履いて見事に海の上を歩いたが、陸に上がるときに着物の裾が濡れたので賭けに負け、粟国島に流されたという。この僧侶は、粟国島に来ると人里離れた洞窟に住んでその生涯を終えたので、その洞窟は、「粟国の洞寺」と呼ばれ、遺骨は洞窟の中に祀られている。なお、この話の祟りの前触れとして煎った豆から芽が生えてきたというモチーフは、県外の昔話や伝説にも見られることがある。

出典:「とかしきの民話」/発行:国立沖縄青年の家

 
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