サンゴの移植について
サンゴを切り取って別の場所で育てる
サンゴを増やすひとつの方法として、サンゴの技など群体の一部を別の場所に固定して定着させることがあります。定着がうまくいけば、おおきな群体にまで成長させることができます。ちょうど、植物で行う「押し木」と同様です。どうしてそのようなことができるかは次のような理由からです。それは、サンゴ群体のひとつひとつの穴に一固体ずつのポリプが生きています。そのポリプを移動させて増やしていくことで、遺伝的に全く同じクローンを増やしていくことになるのです。実験的には水中ボンドを用いて直接岩礁にくっつけたり、クギなどに針金で結びついたり、いろいろな方法が試されています。 自然状態でもサンゴがこわされてしまうことはよくあります。例えば、台風や強い波、他の生物の影響で、群体の一部がこわれてしまっても群体全てが死ぬとは限りません。こわれたサンゴ群体のかけらがたどり着いたところが生育に適していれば幸運です。そこで生き続け、大きな群体に成長することも十分に期待できます。 サンゴは移植が可能ですが、成長が遅く、微妙な環境の変化に大きく影響を受けます。移植で群体を増やすことができても、その成長過程は容易ではないのです。群体を折ったり傷つけないように気をつけて、ダイビングやシュノーケリングを楽しみたいものです。 |