阿波連浦貝塚
砂丘地からは、自然遺物、人工遺物などいろいろな遺物が発見されています
自然遺物
自然遺物というのは、大昔の人々が身を食べた後の貝がらや魚や獣の骨、炭化した植物性の食物などのことです。
阿波連浦貝塚は、ゴホウラガイやオオベコウガイ、シャコガイ、ヤコウガイなどが大量 に出土しています。
人工遺物
貝製品 貝製品とは、貝がらに手を加えて生活用具や身を飾る装飾品などに変えた物です。
阿波連貝塚では、ゴホウラガイやイモガイで作った腕輪が出てきました。ヤコウガイの殻に手を加えて作った貝製品も出ております。これは、おそらく現在のスプーンの役割を果 たしていたと考えられています。また、ヤコウガイのふたの端の打ち欠かれたものや、イモガイを割ったものに、磨いた後のあるものも出ています。しかし、これらはなんに使われたのか、今のところはっきりしていません。
石 器
石器とは、岩石を用いてつくられた道具のことです。この貝塚からは黒曜石というとても堅い石で作られた弓の矢じり(石鏃)もでています。
黒曜石は、ガラス質の火山岩で、色は暗黒色または灰黒色です。日本では、北海道十勝、長野県の和田峠などの特別 な地域でしか産しないので、九州を介して、本州や北海道などとも交易があったのではないかと考えられます。
また、石皿と考えられる平たい板状の石もいくつか出ています。これらは、石皿の上に木の実などをおき、小型の石(すり石)を用いてすりつぶす場合に使われます。
土 器
水分をふくんだやわらかい粘土に細かい石片や砂などを混ぜて形をつくり火熱を加えて焼きあげた容器のことを土器といいます。
1986年に沖縄国際大学考古学研究室の先生や学生のみなさんが行った阿波連浦貝塚の発掘調査では、第4層、第6層からそれぞれことなる特徴をもった土器がでました。
第4層の土器の特徴は、輪ずみ法でつくられた土器で、全体にでこぼこが目立ち仕上げのあらいものです。この層の土器には模様がありません。
第6層の土器の特徴は、第4層の土器と同じように輪ずみ法によって造られていますが第6層では輪ずみ跡は見えにくく、とてもていねいな仕上りになっています。口縁部に突起をつけたり、模様がついている土器もありました。
沖縄国際大学考古学研究室が資料を分析した結果、阿波連浦貝塚は、縄文時代晩期(3000年~2300年前)の貝塚だと推定されています。
1987年2月、阿波連浦貝塚展
~先史時代の渡嘉敷~
(沖縄国際大学考古学研究室)より