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鰹節製造工場跡

2012-02-20

島の暮らしを支えた鰹漁業

 現在、渡嘉敷小・中学校の北側に、村の人々がイヒッピジャーラと呼んでいる小川が流れています。この小川の川岸に、古ぼけたトタンぶきの鰹節乾燥小屋が一棟とレンガ造りの煙突が一本立っています。この工場が昭和30年代後半前まで操業していた鰹節製造工場跡です。鰹漁は、明治36年からおこなわれ、同年、鰹節製造工場もできました。イヒッピジャーラは、今でこそ水量が少ないのですが、上流の方にダムができるまでは、水が豊富に流れ、水を大量に使う鰹節製造工場の立地条件としては、最適でした。
鰹漁がおこなわれる以前は、くり舟を利用した一本釣りの沿岸漁業と山から松材を切出し、主に那覇方面へ薪として売って、生計を立てる程度で、生活は貧しかったのです。
鰹漁が盛んになり、大型船で操業するようになると、村民の生活もしだいに豊かになっていきました。明治の中頃まで、かやぶきの家が多かった渡嘉敷村も、鰹漁の収益が増えるににつれて、瓦ぶきの家が多くなっていきました。
昭和20年3月26日、米軍が慶良間諸島に上陸、渡嘉敷部落の家々も漁船もほとんど焼失してしまいました。戦後は、米軍から払い下げられた上陸用舟艇(しゅうてい)M92型などを譲り受け、鰹漁が再開されたのです。その後、ガリオア資金で祐祥丸、漁集丸などが建造され、漁獲を競い合いました。これらの鰹船は、30トン前後の小型船で、乗組員は、40名程でした。
春の漁期は、鰹が南太平洋から黒潮にのって北上してくる3月頃から始まり、6月頃まで続きました。漁師は、朝3時半には起床し、乗組員全員がそろう4時には出航するのです。伝馬舟(てんません)をともなった本船は、阿波連の灯台近くにある浮岩近海で、鰹の餌になるキビナゴは、本船の四つの生けすに入れられるのです。餌を捕った鰹船は、前島と渡嘉敷島の間を通り、黒島、粟国、渡名喜島近海まで行って漁をしました。時には、阿波連のウン島の南を廻り、久場島や阿嘉、慶留間の近くで操業する場合もありました。浮岩近くでキビナゴが少なくなる夏場は、喜屋武(きゃん)岬沖を通り、知念半島を廻って久高(くだか)島や津堅(つけん)島近海で餌(タカサゴ、サレーラー)を捕ったのです。
夏場は、夜中の2時に起床、3時には出航し、久高近海に来た頃夜が明けました。津堅と久高の近海でタカサゴを捕った漁船は、再び喜屋武岬を回り、粟国、渡名喜近海で操業したのです。
鰹の大漁船が渡嘉敷島に帰ってくる頃には島の家々にも灯がともり、8時、9時頃になる場合もあり、時には、10時、11時をまわる場合もあったのです。出航してから帰島するまで17、8時間もかかる大変きびしい仕事でした。漁船内には常時40名余りの食事が準備できる炊事場もつくられ、いつでも食事ができるようになっていました。
漁船といっしょにタカサゴを捕るのに参加した伝馬舟の乗組員4、5名は、久高や津堅の借家に宿泊し、翌朝、餌場である久高島と津堅島の近海で鰹船と合流し、タカサゴを捕るのです。このような夏場の鰹漁は、10月半まで続きました。大漁の時は、1隻で200から300匹程の鰹を水揚げしますので、渡嘉敷の砂浜は足の踏み場もないほど鰹で占められていました。
水揚げされた鰹を加工するのは、専門の男子の製造人7、8名を除き、ほとんど女性でした。鰹船から陸揚げされた鰹は、魚の大きさや鮮度によって選別され、頭や内臓などが取り除かれます。つぎに、身おろしされ、かごに並べた後、約1時間煮るのです。煮上げた鰹を冷やして、骨を抜きます。その後、蒸気を当てて水分をとり、薪の煙で乾燥させ、日乾を4~5時間やった後、仕上げるのです。
まもなく、夏場の漁期も去り、秋の深まる10月の末から11月の北西風(ミーニシ)の吹き始める頃になると、海が荒れ、鰹漁も操業できなくなります。
海で仕事のできない冬場は、畑仕事や山仕事にでかけます。田や畑のない次男、三男の人々は、主に糸満の真栄平(まえひら)等に行きました。そこできびかりや、芋の植え付けなどをして生計を立て、次の漁期を待つのです。
60年代に入り、鰹の漁獲高も徐々に減り、平行して、1962年、赤間山に米軍のミサイル基地が造られたため、若い人々は、道路工事や基地に働きに行って、鰹漁は、後継者を失ってしまいました。  1964年、50年余り続いた鰹漁や鰹節製造工場は、操業を停止したのです。  (小嶺正光氏より聴取)

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